TPLO(前十時靱帯断裂の治療)

整形外科

 犬の前十字靭帯の損傷・断裂は、いろいろな原因で発症します。中型犬のCちゃんには、もともと左後足をたまに引きずる症状がありましたが、症状がひどくなってきたため、来院しました。

左後肢X線写真1 脛骨の前方変位・関節液増量所見を認める(脛骨高平部の角度を測定している)

 身体検査およびX線検査の結果、左膝関節の前十字靭帯が損傷している可能性が高いことがわかりました。体重や年齢、基礎疾患など様々な条件で適応となる方法は異なりますが、当院ではTPLO(脛骨高平部水平骨切り術)、ナイロン糸を用いた関節外法の二つの方法を提示します。

左後肢X線写真2 TPLO術後(脛骨粗面の骨幅を測定している)

 中型犬のCちゃんには、TPLOでの治療が計画されました。専用の鋸を使って脛骨を骨切りした後、予定された位置に骨をずらし、プレートとスクリューで固定します。術後の検査で、手術前と比べ脛骨のずれ(前方変位)が解消され、計画通り手術を行うことができました。TPLOは、前十字靭帯断裂・損傷により不安定になり力が入らなくなってしまった膝の機能を安定化し、早期に機能を回復することができる優れた治療です。しかしながら、前十字靭帯損傷に伴う変形性関節症は治療の有無にかかわらず進行しますので、治療後もサプリメントなどで継続したケアをおすすめします。