成長期の骨折(犬の脛骨近位骨端板骨折)

整形外科

生後5か月、犬のS君ですが、段差のあるところから降りた後、左後肢を着かなくなってしまい、当院へ来院しました。X線検査を行ったところ、左後肢脛骨近位の骨端板骨折(脛骨粗面離断を伴う脛骨近位Salter-Harris I型骨折)と診断されました。

X線検査で、脛骨近位骨端板に骨折が認められました。治療は手術による整復固定、外固定による保存療法が挙げられますが、S君の場合、骨の変位が大きく膝の曲げ伸ばしで骨同士が動き骨が癒合しづらい、変形癒合すると将来前十字靭帯損傷などで膝関節機能が低下する可能性がある、などの理由で整復固定が望ましいため、手術を選択しました。

手術は、3本のピンで整復固定しました。S君は成長期なので、ピンが骨の成長に干渉する可能性もあります。したがって、骨癒合が確認できたタイミングでピンを抜く必要があるため、段階的にピンを抜く2回目、3回目の手術を行いました。最終的に、骨は癒合し足をついて歩くことができました。

骨端板骨折は成長期に多く発生する骨折です。中でも、脛骨の膝関節を含む骨折は、変形して癒合すると将来前十字靭帯損傷の原因になることもあるため、術後も定期的な診察が必要になることもあります。