流涙症は、涙がまぶたから流れ出て毛が茶色く変色する「涙焼け」、涙で毛が濡れることで起きる皮膚炎のほか、重度の場合、眼の表面が傷つくと角膜潰瘍を起こします。トイプードルやマルチーズなど小型の犬種に多く発生するため、多くの相談を受けることが多い病気です。一方で、流涙症を引き起こす原因は多様で、動物病院で治療を行っても改善しないことも多いですが、サプリメントで改善したマルチーズのWちゃんの例をご紹介させていただきます。
Wちゃんは、マルチーズの女の子で、長年流涙症に悩まされていました。動物病院で様々な治療を行いましたが、なかなか改善がしませんでした。
涙焼けの原因は大きく3つに分類されます。
①涙の増加(まつ毛の刺激による涙産生量の増加)
②涙排泄経路の異常(涙の排泄孔閉鎖、鼻涙管閉塞、涙嚢炎など)
➂眼に涙をためられない(マイボーム腺機能異常、下眼瞼内側の内反)
以上のように原因は一つでないことも多いため、様々な治療を試しましたが、Wちゃんの流涙症はなかなか改善しません。そこで、困ったオーナー様は、あるサプリメントを試されたそうです。
それが「Eye Vita Drops(アイビタ)」です!
このサプリメントは、主な有効成分として「β-クリプトキサンチン」を含む複合ビタミン剤です。「β-クリプトキサンチン」は、ミカンやポンカン、柿などに含まれていて、脂質代謝改善作用や発がん抑制作用、美白効果などがあるとされています。流涙症における原因の一つに、マイボーム腺機能異常(涙液の脂質分泌減少)によって起こる涙液保持機能低下があります。このサプリメントの投与でマイボーム腺から分泌される脂の質が変わり、眼の表面への涙液保持機能改善が期待できます。
Wちゃんも、脂質代謝が改善されたことで流涙症の症状が改善されたのかもしれませんね。
流涙症の治療は、原因により治療法が異なります。その方法はおおむね以下の通りです。
➀涙の増加(まつ毛の刺激による涙産生量の増加)
まつ毛の異常(睫毛異常)の場合、角膜や結膜に接触しているまつ毛を抜いたり、重度の場合は毛根の切除を行います。
②涙排泄経路の異常(涙の排泄孔閉鎖、鼻涙管閉塞、涙嚢炎など)
涙の排泄孔閉鎖(涙点の閉塞や狭窄) 涙点形成手術
鼻涙管閉塞 鼻涙管洗浄
涙嚢炎 涙嚢を洗浄し、抗生剤とステロイドで治療
➂涙を目にためられない
マイボーム腺機能異常 温罨法(下瞼を蒸しタオルで温める)
マイボーム腺開口部の洗浄
抗生剤投薬
下眼瞼内反 角膜潰瘍を繰り返す場合には内反矯正手術
このほか、フードを変更すると症状が改善することもあるので、変更を試みてもよいかもしれません。